このレビューはネタバレを含みます。
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聖パウロ学生寮の小松、日野、土田ら貧乏で生命力あふれる学生たちと、彼らの悪行の後始末ばかりのフランス人神父モッキンポット師ら神父たちとのドタバタ劇、愛すべき交流を描いた小説です。主人公の小松は作者(井上ひさし)自身と重なるところも多いです。
学生たちはもちろん、それぞれの神父の人間味も味があります。
「逢初一号館の奇蹟」での日野の最後の悪あがき、カトリック信者への「一種のパラドックス」に対するモッキンポット師の反応が、いちばん好きな場面です。
生命力あふれる学生と鮮やかに描かれたその時代の雰囲気、人間味と学生への愛にあふれた神父たちが描かれています。
井上ひさしがお好きな方も、あまり読んだことがない方も、ぜひお読みください。